はじめに
機械装置設計では、ワークや機械の状態を確認するために、センサーを使うことがあります。
たとえば、
- ワークがあるか確認する
- ワークが正しい位置にあるか確認する
- シリンダが前進端・後退端にいるか確認する
- カバーや扉が閉まっているか確認する
- 回転や昇降の原位置を確認する
- 排出されたか確認する
- 異常な詰まりを検出する
といった用途です。
センサーは、装置を自動で動かすために重要な部品です。
しかし、ただ取り付ければよいわけではありません。
センサーの位置が悪いと、ワークを検出できなかったり、逆に関係ない部品を検出したり、調整が難しくなったりします。
今回は、機械設計初心者向けに、
「センサー配置と検出の考え方」
について解説します。
まず何を確認するセンサーかを決める
センサーを配置するときに最初に考えることは、
何を確認するためのセンサーなのか
です。
センサーには必ず役割があります。
たとえば、
- ワーク有無を確認する
- ワークの浮きを確認する
- ワークの向きを確認する
- シリンダの端位置を確認する
- カバーの開閉を確認する
- 排出完了を確認する
というように、何を確認したいのかを明確にします。
ここがあいまいなままセンサーを配置すると、あとから
「このセンサーは何を見ているのか」
「この検出で本当に次の動作に進んでよいのか」
が分かりにくくなります。
設計時には、
このセンサーで何を確認するのか
検出したら次に何を動かすのか
検出できなかった場合はどう止めるのか
を整理します。
センサーは、動作フローとセットで考えることが大切です。
ワーク検出は「どこを見るか」が重要
ワーク有無を検出する場合、センサーがワークのどこを見るかが重要です。
ただワークの近くにセンサーを置くだけでは、安定した検出にならないことがあります。
たとえば、ワークの端面を見る場合、ワーク寸法のばらつきで検出位置が変わることがあります。
丸いワークや曲面を検出する場合、反射や距離の影響を受けることがあります。
穴や切欠きがある部分を見てしまうと、ワークがあるのに検出できない場合もあります。
設計時には、
ワークのどの面を検出するか
その面は毎回同じ位置に来るか
ばらつきや反りの影響を受けにくいか
穴や切欠き、突起を誤って見ていないか
を確認します。
ワーク検出では、検出しやすい安定した面を見ることが基本です。
センサーの種類に合った配置にする
センサーにはいろいろな種類があります。
たとえば、
- 近接センサー
- 光電センサー
- リミットスイッチ
- マグネットスイッチ
- ファイバーセンサー
- レーザーセンサー
- 圧力センサー
などです。
それぞれ得意な検出対象や使い方が違います。
金属ワークなら近接センサーが使いやすい場合があります。
離れた位置から有無を見るなら光電センサーが使いやすい場合があります。
シリンダの端位置確認なら、マグネットスイッチを使うことが多いです。
設計時には、
検出する対象は金属か、樹脂か、透明品か
検出距離は足りるか
周囲の光や汚れの影響を受けないか
取付スペースはあるか
調整しやすいか
を確認します。
センサーは、種類によって取付条件が変わります。
「何を見たいか」と「どのセンサーなら安定して見られるか」を合わせて考えることが大切です。
調整代を持たせる
センサー取付部では、調整代を持たせることが多くあります。
実際の装置では、ワークのばらつき、取付誤差、センサーの個体差、現場での調整があるためです。
たとえば、センサーブラケットに長穴を設けて、前後方向や上下方向に微調整できるようにします。
ただし、調整代を持たせる方向が間違っていると意味がありません。
ワークの位置ばらつきが左右方向に出るのに、上下方向にしか調整できないと、現場で調整しにくくなります。
設計時には、
どの方向に調整が必要か
調整範囲は足りるか
調整後にしっかり固定できるか
調整ねじや取付ボルトに工具が入るか
を確認します。
センサーは、取り付けられるだけでなく、現場で調整できることが重要です。
誤検出を防ぐ
センサー配置では、誤検出にも注意が必要です。
誤検出とは、見たいものではないものを検出してしまうことです。
たとえば、
- ワークではなく治具を見てしまう
- 作業者の手を検出してしまう
- 隣のワークを検出してしまう
- 光電センサーが反射物を拾ってしまう
- 切粉や粉じんを検出してしまう
- 配線やエアチューブが検出範囲に入ってしまう
といったケースがあります。
誤検出が起きると、ワークがないのにあると判断したり、正しい位置にないのに次の動作へ進んだりする可能性があります。
設計時には、
検出範囲に余計な部品が入らないか
ワーク以外を見ていないか
汚れや切粉の影響を受けにくいか
周囲の動く部品と干渉しないか
を確認します。
センサーは、見たいものを確実に見ることと同じくらい、見てはいけないものを見ないことが大切です。
センサーの保護とメンテナンスを考える
センサーは、装置の中でも比較的トラブルになりやすい部品です。
ワークが当たる、切粉が付く、油がかかる、配線が引っ張られる、作業者がぶつけるなどの可能性があります。
そのため、センサー本体や配線の保護も考える必要があります。
設計時には、
ワークや治具がセンサーに当たらないか
切粉、粉じん、油、水の影響を受けないか
ケーブルが可動部に引っかからないか
センサーを交換しやすいか
交換後に再調整しやすいか
を確認します。
センサーは、取付位置が悪いと故障しやすくなります。
また、交換しにくい位置にあると、トラブル時の復旧に時間がかかります。
センサー配置では、検出だけでなく、保護とメンテナンスもセットで考えることが大切です。
センサー配置チェックリスト
センサーを配置するときは、次の内容を確認するとよいです。
1. センサーの役割
- 何を確認するセンサーか明確になっている
- 検出した後の動作が決まっている
- 検出できなかった場合の停止方法を考えている
- 動作フローとセンサーの役割が合っている
2. 検出位置
- ワークのどこを見るか決めている
- 検出する面が安定している
- ワークばらつきの影響を受けにくい
- 穴・切欠き・突起で検出が不安定にならない
3. センサー種類と調整
- 対象物に合ったセンサーを選んでいる
- 検出距離に余裕がある
- 必要な方向に調整できる
- 調整後にしっかり固定できる
- 工具を入れて調整できる
4. 誤検出防止
- ワーク以外を検出しない
- 作業者の手や治具を誤検出しにくい
- 周囲の反射物や汚れの影響を考えている
- 配線やチューブが検出範囲に入らない
5. 保護・メンテナンス
- ワークや可動部がセンサーに当たらない
- ケーブルが引っ張られない
- 切粉・油・水などの影響を考えている
- センサーを交換しやすい
- 交換後に再調整しやすい
まとめ
センサーは、装置の状態を確認し、安全で安定した動作につなげるための重要な部品です。
ただし、センサーは付ければよいものではありません。
センサー配置では、
何を確認するのか
ワークのどこを見るのか
どの種類のセンサーを使うのか
調整できるか
誤検出しないか
保護や交換がしやすいか
を考える必要があります。
良いセンサー配置とは、センサーがきれいに取り付いているだけの状態ではありません。
見たいものを安定して検出し、見てはいけないものを誤検出せず、調整や交換もしやすい配置
です。
初心者のうちは、センサーを配置するときに、まず
このセンサーは何を確認するためのものか
次の動作に進む判断として十分か
を確認することをおすすめします。
次回は、
「エア機器を使う装置設計の基本」
について解説します。
