基礎製図 練習問題1〜8の回答例
ここでは、前章で紹介した基礎製図の練習問題について、回答例を紹介します。
製図には「これだけが唯一の正解」というよりも、加工者が迷わず読み取れるか、必要な情報が不足していないかが重要になります。
そのため、ここで紹介する回答例は、初心者がまず押さえておきたい基本的な考え方として参考にしてください。
練習問題1:線の種類を使い分ける問題の回答例
問題例
穴のあいた長方形プレートを描き、外形線・中心線・寸法線・隠れ線を使い分ける。
回答例
長方形プレートの外側の形状は、太い実線で描きます。
これは、実際に正面から見えている輪郭を表すためです。
中央に丸穴がある場合は、穴の円も太い実線で描きます。
さらに、穴の中心位置がわかるように、縦方向と横方向に一点鎖線の中心線を入れます。
寸法を示す線は、外形線より細い細い実線で描きます。
寸法補助線も同じく細い実線を使います。
もし正面から見えない裏側の段差や穴がある場合は、破線で表します。

確認ポイント
- 外から見える形状は太い実線になっているか
- 穴の中心に中心線が入っているか
- 寸法線と外形線の太さが区別されているか
- 見えない形状を太い実線で描いていないか
初心者がよくやるミスは、すべての線を同じ太さで描いてしまうことです。
図面では線の種類そのものが情報なので、線の意味を意識して描くことが大切です。
練習問題2:簡単な部品を三面図で描く問題の回答例
問題例
L字形のブロックを、正面図・平面図・右側面図で描く。
回答例
まず、L字形の形が一番わかりやすく見える向きを正面図にします。
正面図では、L字の段差形状がはっきりわかるように描きます。
次に、正面図の真上に平面図を描きます。
平面図では、部品を上から見た形状を表します。
正面図と平面図の横幅は必ずそろえます。
最後に、正面図の右側に右側面図を描きます。
右側面図では、部品の奥行き方向の形状を表します。
正面図と右側面図の高さはそろえる必要があります。

確認ポイント
- 正面図と平面図の幅が合っているか
- 正面図と右側面図の高さが合っているか
- 平面図と右側面図の奥行き寸法が合っているか
- 各図の位置関係が崩れていないか
三面図では、ひとつの図だけが正しくても不十分です。
正面図・平面図・側面図の関係が合っていて、初めて立体形状を正しく表せます。
練習問題3:立体図から投影図を描く問題の回答例
問題例
段差のあるブロックの立体図を見て、正面図・平面図・右側面図を描く。
回答例
まず、立体図を見て、部品の特徴が最も伝わりやすい向きを正面にします。
段差がある部品であれば、段差の高さや形がよく見える面を正面図にするとわかりやすくなります。
正面図では、段差の形状を太い実線で表します。
上から見たときに見える形状は平面図に描き、右側から見た形状は右側面図に描きます。
奥側にあって正面から見えない段差や穴がある場合は、必要に応じて破線で表します。

確認ポイント
- 正面に選んだ向きが適切か
- 見えている線と見えていない線を区別しているか
- 三面図の寸法関係が合っているか
- 立体図の特徴が図面上で表現できているか
立体図から投影図を描く練習では、頭の中で部品を回転させる力が必要になります。
最初は難しく感じますが、簡単なブロック形状から繰り返すと、少しずつ形状を読み取れるようになります。
練習問題4:寸法を入れる問題の回答例
問題例
穴あきプレートに必要な寸法を記入する。
回答例
長方形プレートの場合、まず全体の大きさとして、長さ・幅・厚みを記入します。
次に、穴の大きさを示すために、穴径を「φ10」のように記入します。
穴位置は、プレートの端面を基準にして、穴中心までの寸法を入れます。
たとえば、横方向は左端面から穴中心まで、縦方向は下端面から穴中心までの寸法を記入します。
同じ寸法を別の場所に重複して入れる必要はありません。
寸法が多すぎると、かえって図面が読みにくくなります。

回答例の寸法構成
- 全長:100
- 全幅:60
- 板厚:10
- 穴径:φ10
- 穴位置:左端から50、下端から30
確認ポイント
- 部品全体の大きさがわかるか
- 穴の直径がわかるか
- 穴の位置がわかるか
- 寸法が重複していないか
- 加工者が測定しやすい基準から寸法を入れているか
寸法記入では、「形が描けているか」だけでなく、その寸法で実際に加工できるかを考えることが大切です。
練習問題5:穴加工の図面を描く問題の回答例
問題例
4か所に取り付け穴があるプレートの図面を描く。
回答例
プレートの外形を太い実線で描き、4か所の穴を円で表します。
それぞれの穴には中心線を入れ、穴位置がわかるように寸法を記入します。
同じ径の穴が4か所ある場合は、個別にすべて「φ10」と書くのではなく、まとめて4-φ10のように表すことができます。
穴位置は、端面から穴中心までの寸法で示します。
左右対称、上下対称の配置であれば、中心線を基準にして寸法を入れる方法もあります。
回答例の寸法構成
- プレート外形:120 × 80
- 板厚:12
- 穴径:4-φ10
- 穴位置:左右端から20、上下端から20
- 穴の中心間距離:80 × 40

確認ポイント
- 穴径と穴数がわかるか
- 穴の位置が不足していないか
- 中心線が入っているか
- 穴位置の基準が明確か
- 同じ穴をわかりやすくまとめて表記しているか
穴加工の図面では、穴径だけでなく、穴がどこにあるかが非常に重要です。
穴径を書いていても、位置寸法がなければ加工できません。
練習問題6:断面図を描く問題の回答例
問題例
中心に段付き穴がある円柱部品を断面図で描く。
回答例
円柱部品の内部に段付き穴がある場合、外観図だけでは内部形状がわかりにくくなります。
そのため、中心を通る位置で切断した断面図を描きます。
断面図では、切断された材料部分にハッチングを入れます。
穴の部分は空間なので、ハッチングは入れません。
段付き穴の場合は、穴径の違いと深さがわかるように寸法を記入します。

回答例の寸法構成
- 外径:φ50
- 全長:60
- 貫通穴:φ16
- 座ぐり穴:φ30 深さ15
- 中心線:円柱中心に一点鎖線を入れる
- 切断部:材料部分にハッチングを入れる
確認ポイント
- 内部形状が断面図で見えるようになっているか
- ハッチングを穴部分に入れていないか
- 穴径と深さがわかるか
- 中心線が入っているか
- 隠れ線が多くなりすぎていないか
断面図の目的は、内部形状をわかりやすく伝えることです。
隠れ線だらけで読みにくくなる場合は、断面図を使うと図面が整理されます。
練習問題7:表題欄を記入する問題の回答例
問題例
穴あきプレートの部品図に表題欄を記入する。
回答例
表題欄には、その図面を管理するための基本情報を記入します。
部品の形状や寸法が正しくても、表題欄が空欄では実務図面としては不十分です。
穴あきプレートの場合、次のように記入します。
表題欄の記入例

| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 部品名 | 取付プレート |
| 図面番号 | NP-001 |
| 材質 | SS400 |
| 尺度 | 1:1 |
| 投影法 | 第三角法 |
| 作成日 | 2026/05/23 |
| 作成者 | ○○ |
| 単位 | mm |
確認ポイント
- 部品名が具体的か
- 図面番号が入っているか
- 材質が明記されているか
- 尺度が記入されているか
- 投影法がわかるか
- 単位が明確か
表題欄は、図面の「名札」のようなものです。
実務では、図面番号や材質が抜けていると、手配や加工でトラブルにつながることがあります。
練習問題8:加工を意識した図面に修正する問題の回答例
問題例
寸法が見にくく、加工者が迷いやすい図面を修正する。
修正前の例
- 寸法線が図形の中に入り込んでいる
- 同じ寸法が複数箇所に入っている
- 穴位置の寸法が不足している
- 基準面がわかりにくい
- 隠れ線が多く、形状が読み取りにくい
- 材質や板厚の記入がない
回答例
まず、寸法線を図形の外側に整理します。
寸法線同士が重ならないように配置し、読み取りやすくします。
次に、重複している寸法を削除します。
同じ寸法が複数あると、設計変更時に片方だけ修正され、寸法の矛盾が起きる可能性があります。
穴位置については、基準面を決めて、端面から穴中心までの寸法を記入します。
穴径だけでなく、穴数と穴位置を明確にします。
内部形状が隠れ線で読みにくい場合は、断面図を追加して、形状をわかりやすくします。
最後に、表題欄へ材質、尺度、図面番号などを記入します。

修正後の図面で入れるべき情報
- 外形寸法
- 板厚または全長
- 穴径
- 穴数
- 穴位置寸法
- 必要な中心線
- 必要に応じた断面図
- 材質
- 表題欄情報
確認ポイント
- 加工者がどこを基準に加工すればよいかわかるか
- 寸法が整理されて読みやすいか
- 必要な寸法が不足していないか
- 重複寸法がないか
- 図面を見て部品形状が迷わず理解できるか
この練習で大切なのは、図面を「描く側」ではなく、加工する側の目線で見ることです。
実務では、加工者が何度も確認しなければならない図面は、よい図面とは言えません。
必要な情報が整理されていて、迷わず加工できる図面を目指しましょう。
まとめ:回答例を見るときのポイント
基礎製図の練習問題では、きれいに描くことだけが目的ではありません。
大切なのは、次の3つです。
- 形状が正しく伝わること
- 寸法が不足なく記入されていること
- 加工者が迷わず読み取れること
初心者のうちは、線の種類や寸法記入のルールを覚えるだけでも大変です。
しかし、練習問題を繰り返すことで、図面の見方や描き方は少しずつ身についていきます。
最初は簡単なプレートやブロック形状から始めて、慣れてきたら穴加工、断面図、表題欄、加工を意識した図面へと段階的に進めていきましょう。
